現在は大丈夫だけど、将来ご自身で財産管理等、身の回りの事務を行うことにご不安がある。又は認知症の方、知的障がいのある方、精神障がいのある方など判断能力が不十分な方々を支援する制度です。判断能力が低下すると、介護施設を利用するための契約などの法律行為や財産管理など、自分で行うことが困難になったり、悪徳商法の被害にあわないかと不安になったりすることがあります。このような方々の為に、本人の意思を尊重しながら本人の代わりに契約をしたり、財産を管理したりして支えていきます。成年後見制度には、任意後見制度と、法定後見制度の2種類があります。

相談
判断能力が低下した場合に備え、将来、どのように生活をしたいか、財産をどのように管理してほしいかなどを、支援をお願いする人(任意後見受任者)とじっくりと話し合います。
契約
決定した内容を基に、任意後見契約を公証人の作成する公正証書で結びます。契約の内容は、法務局に登記されます。
申立て
本人の判断能力が低下した場合には、任意後見受任者は家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。
後見事務
任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者は任意後見人となり、任意後見監督人の指導を受けながら後見事務を行います。任意後見人は任意後見契約に基づき、本人の意思を尊重しながら、支援をしていきます。※注3
後見事務終了
本人が亡くなった場合は、任意後見契約は終了します。また、任意後見人が病気などやむを得ない事情により、契約を解除しなければならない場合は、家庭裁判所の許可が必要です。※注4

※注3:任意後見人には取消権はありません。本人が悪徳商法などに巻き込まれないように、日ごろから連絡を密にすることで、本人を保護していきます。※注4:本人が亡くなった後、葬儀・埋葬や病院等の精算なども行ってもらいたい場合は、任意後見契約の特約として、任意後見人の業務に追加できます。また、財産の処分等に希望がある場合は、任意後見契約とともに遺言書を作成し、任意後見人を遺言執行者に指定しておくとより安心です。

申立て
家庭裁判所で手続き案内を受けます。申立書や医師の診断書等必要な書類を用意し、家庭裁判所に提出します。※注1
調査・鑑定
家庭裁判所が、申立人・後見人候補者等に事情を尋ねたり、本人の意思を確認したりします。必要があるときは、本人の判断能力について鑑定が行われます。
審理・審判
調査や鑑定が終了すると、家庭裁判所は後見等の開始の審判をし、併せて後見人等を選任します。本人、申立人、成年後見人等に審判書が送られてきます。
登記
成年後見人等が審判書を受け取ってから2週間以内に不服申立てがされなければ、審判が確定し、その内容が登記されます。登記が済むと家庭裁判所から登記番号が通知されます。
後見事務
家庭裁判所で指導を受けたとおり、本人の財産を預かり、収入や支出を記録し、生活の様子に気を配ります。家庭裁判所から求められたときには、期限までに報告をします。最初の報告は審判確定後一ヶ月以内に提出する「財産目録」と「年間収支予定」です。※注2
後見事務終了
本人が亡くなったときや、本人の判断能力が回復したときには後見は終了します。家庭裁判所に終了の連絡をし、亡くなった場合には相続人等に財産を引渡し、家庭裁判所に後見事務終了報告書を提出します。

※注1:申立ては、原則本人の住所地を管轄する家庭裁判所にて行います。申立てをすることができる人は、本人・配偶者・4親等内の親族等です。また、申立てをするには、申立書の他に、本人の戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、家庭裁判所所定の診断書や本人に関する各種資料等が必要です。後見人候補者がいる場合には、候補者についての説明書なども必要です。申立てに必要な費用は、収入印紙・切手代で6千円〜8千円程度です。この他に、医師による鑑定費用が必要になる場合もあります。

2:成年後見人等は、財産目録を家庭裁判所に提出するまでは、原則として後見事務をすることができません。